プロレス大賞の歴史:1974年から2025年までの栄光と激動の半世紀

その他

序章:プロレス大賞とは何か

1974年、東京スポーツ新聞社が創設した「プロレス大賞」。
それは単なる賞ではなく、**一年を戦い抜いたレスラーたちの“魂の記録”**だ。
MVP、ベストバウト、タッグ賞、敢闘賞、技能賞、女子プロ大賞など、
日本のプロレス界の“顔”を決める栄誉とともに、業界全体の流れを映し出してきた。

1970年代:創設と黄金期の到来

プロレス大賞の幕開けは1974年。
初代MVPは、言わずと知れたアントニオ猪木。
「ストロング小林との異種格闘技戦」は当時社会現象となり、
この時代、プロレスは「最強を競うリアルファイト」として国民的人気を誇った。

もう一方の巨塔・ジャイアント馬場もベストバウトを量産。
全日本と新日本が“二大巨頭”として並び立ち、
この時代のプロレス大賞はまさに“黄金の両翼”だった。

1980年代:長州・鶴田・天龍、三強時代

1980年代は団体抗争と個の時代の始まり。
長州力の革命軍、ジャンボ鶴田のエース時代、天龍源一郎の天龍革命。
リング上では団体の看板を背負い、観客の感情を爆発させる戦いが繰り広げられた。

タイガーマスク(初代)の登場もこの時代。
“空中戦革命”として少年たちの心を奪い、女子ではダンプ松本 vs ライオネス飛鳥が社会現象に。
「女子プロレス大賞」が定着し始めたのもこの頃だ。

1990年代:団体抗争と個の時代

バブル崩壊の裏で、リングはさらに熱くなった。
全日では「四天王プロレス」が確立。三沢光晴、川田利明、小橋建太、田上明。
一方の新日本では武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也の「闘魂三銃士」が躍動した。

1990年代のプロレス大賞は、“技術と物語の融合”。
1990年の大仁田厚 vs ターザン後藤(電流爆破)はデスマッチ文化の象徴。
この時代、MVPの意味は「時代を変えた男」へと進化した。

2000年代:混沌からの再生期

2000年代、業界は再編の嵐。
NOAH設立、PRIDEブーム、総合格闘技との交差——。
プロレスは試練の時代を迎えるが、その中で輝いたのが武藤敬司と小橋建太。
彼らは“プロレスの誇り”を守り抜き、観客の信頼を再び取り戻した。

一方、女子プロは一時低迷。
しかし後にスターダム、仙女といった新世代団体が芽吹き始める。
女子プロ大賞も再び注目を集める礎となった。

2010年代:新日本の黄金期と世界進出

オカダ・カズチカの時代、そして内藤哲也の時代。
2010年代は「新日本プロレスの黄金時代」と呼ばれる。
2012〜2020の約8年間、MVPとベストバウトはほぼ新日本勢が独占。

オカダ vs ケニー・オメガ、内藤 vs オカダなど、
世界レベルの試合が立て続けに選ばれ、海外メディアでも称賛された。

女子では紫雷イオ、世志琥、里村明衣子らが受賞。
男子・女子問わず、「プロレスは再び世界へ羽ばたくエンターテインメント」となった。

2020年代:多団体化と女子プロの復権

2020年代、コロナ禍を経てもリングの灯は消えなかった。
オンライン配信やサブスク文化により、
ファンの応援は“会場から画面越し”へと進化した。

2024年には外国人選手ザック・セイバーJr.がMVP。
2002年のボブ・サップ以来、実に22年ぶりの快挙。
女子部門ではSareeeが女子プロ大賞を受賞し、
日本女子プロレスが再び世界の注目を集めた年となった。

MVP・ベストバウト・女子プロ大賞 年表(1974〜2025)

プロレス大賞 MVP・ベストバウト・女子プロ大賞 年表(1974〜2025)
MVP 年間最高試合(ベストバウト) 女子プロ大賞(※併設年)
1974 アントニオ猪木 猪木 vs ストロング小林
1982 タイガーマスク(初代) 馬場&鶴田 vs ファンクス ダンプ松本
1989 長州力 長州力 vs 天龍源一郎 北斗晶
1990 大仁田厚 大仁田厚 vs ターザン後藤(電流爆破) アジャ・コング
1998 三沢光晴 三沢光晴 vs 川田利明 井上京子
2003 小橋建太 小橋建太 vs 秋山準 浜田文子
2008 武藤敬司 丸藤正道 vs 近藤修司 里村明衣子
2012 オカダ・カズチカ 棚橋弘至 vs オカダ・カズチカ 紫雷イオ
2015 オカダ・カズチカ 天龍源一郎 vs オカダ・カズチカ 長与千種
2017 内藤哲也 オカダ・カズチカ vs ケニー・オメガ 岩谷麻優
2019 オカダ・カズチカ オカダ・カズチカ vs SANADA 林下詩美
2022 内藤哲也 鷹木信悟 vs ウィル・オスプレイ ジュリア
2024 ザック・セイバーJr. 辻陽太 vs 後藤洋央紀(NEW JAPAN CUP 決勝) Sareee
2025 (未発表) (発表待ち) (発表待ち)

総括:プロレス大賞が映す「時代の物語」

プロレス大賞とは、リング上の栄光の記録であると同時に、
「時代そのものを映す鏡」でもある。

猪木と馬場がいた時代、
長州が革命を起こし、三沢が魂を燃やし、
オカダが新しい黄金期を築いた。

そしていま、女子も再び主役の座へ。
Sareee、岩谷麻優、里村明衣子——
その名は、未来のプロレス史にも必ず刻まれていく。

出典・参考リンク

東京スポーツ「プロレス大賞」公式サイト

Wikipedia:プロレス大賞(歴代MVP)

Kakutolog プロレス大賞まとめ

東スポWEB 各年授賞式記事

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