目次
- 序章:プロレスゲームとは何か
- 1980年代:アーケードとファミコン時代の幕開け
- 1990年代:スーパーファミコンとプレイステーションの黄金期
- 2000年代:リアル路線とWWEゲームの独占時代
- 日本発「ファイプロ」シリーズの革新
- 2010年代〜現在:オンライン対戦とeスポーツ化の兆し
- 今後のプロレスゲームの可能性
- まとめ
1. 序章:プロレスゲームとは何か
プロレスゲームとは、プロレス団体や選手を題材にした対戦型ゲームのジャンルである。単なる格闘ゲームと異なり、試合の駆け引きや「技の見せ方」「観客を沸かせる流れ」を重視する作品が多く、独自の進化を遂げてきた。この記事では、1980年代から現代までの歴史を時代ごとに振り返ってみたい。
2. 1980年代:アーケードとファミコン時代の幕開け
プロレスゲームの始まりは1983年のアーケード作品『Tag Team Wrestling』(日本名:ザ・ビッグプロレスリング)だ。続いてファミコンでも『プロレス』(1986年・任天堂)や『マッスルタッグマッチ』(1985年・バンダイ)が登場し、家庭で手軽に遊べるようになった。
当時はライセンスを使わないオリジナルレスラーが中心で、ボタン連打で技を決める単純なルールだったが、「プロレスをゲームにする」という斬新さで人気を博した。
3. 1990年代:スーパーファミコンとプレイステーションの黄金期
1990年代に入ると、ハードの進化とともにプロレスゲームも大きく進化した。スーファミでは『スーパーファイヤープロレスリング』シリーズが熱狂的支持を得た。実在レスラーをモデルにした「パロディキャラ」や多彩な技コマンドは、ファンの心を掴んだ。
さらにプレイステーションでは『闘魂烈伝』シリーズや『全日本プロレス2』など団体公認のゲームも登場。ポリゴン表現によりリアルな動きが可能となり、選手の個性を再現する試みが進んだ。
4. 2000年代:リアル路線とWWEゲームの独占時代
2000年代に入ると、世界最大の団体WWEがゲーム展開を主導するようになる。特に『WWF SmackDown!』シリーズ(後の『WWE SmackDown vs. Raw』)はリアルな選手モデル、入場演出、ストーリーモードなどを搭載し、世界的に大ヒット。
一方、日本市場では『キング・オブ・コロシアム』や『新日本プロレスリング 闘魂列伝』といったシミュレーション寄りの作品も登場したが、徐々にWWEゲームの勢いに押されていく。
5. 日本発「ファイプロ」シリーズの革新
日本を代表するプロレスゲームといえば「ファイヤープロレスリング」シリーズだろう。1989年のPCエンジン版から始まり、2020年代には『Fire Pro Wrestling World』としてSteamでも配信された。
特徴は「タイミング式コマンド」による技入力で、単なるボタン連打ではなく、試合の流れや選手のスタミナ管理が重要となる点。実在レスラーを模したエディット機能も人気で、世界中のファンが自作レスラーを共有して楽しんでいる。
6. 2010年代〜現在:オンライン対戦とeスポーツ化の兆し
近年のプロレスゲームはオンライン対戦やコミュニティ機能が進化している。『WWE 2K』シリーズは毎年最新作がリリースされ、最新のスーパースターや大会演出を体験できる。一方でファイプロは「シミュレーション的な遊び方」で根強い人気を保ち、Steam Workshopを通じて世界中のユーザーが交流している。
また、VTuberや実況配信との相性も良く、ゲームを通じて「架空の興行」を楽しむ文化も広がっている。
7. 今後のプロレスゲームの可能性
これからのプロレスゲームは、AIによる選手AIの進化や、VR・ARを利用した「没入型プロレス観戦」へ発展する可能性がある。観客の歓声やブーイングまでもリアルタイムに再現し、プレイヤー自身がリングに上がる未来もそう遠くはないだろう。
8. まとめ
プロレスゲームの歴史は、単なる格闘ゲームの枠を超え「プロレスという文化そのもの」をどうデジタル表現するかの挑戦の歴史でもあった。ファミコンのシンプルな作品から始まり、ファイプロの戦略性、WWE 2Kのリアル志向、そしてオンライン配信文化との融合へと続いている。
これからもプロレスゲームは、新しいファンを巻き込みながら進化し続けるだろう。
コメント