【渋すぎる名勝負】永田裕志 vs 青木真也|昭和の匂い漂う“超日本プロレス”の30分ドローが熱い!

DDT

2025年10月14日、新宿FACEで行われた「超日本プロレス come again 2025」。
そのリングで、プロレスファン垂涎のカードが実現した。新日本プロレスのレジェンド・永田裕志と、総合格闘技からプロレスまで縦横無尽に活躍する青木真也の一騎打ち。30分一本勝負という古典的なルールで行われたこの試合は、ど派手な空中戦もなければ、過剰な演出もない。だが、そこにあったのは「魂の攻防」だった。
昭和の香りをまといながら、現代のリングに“プロレスの原点”を呼び戻した二人の戦い。この記事では、その試合内容とプロレス的価値、そしてファンの間で語り草となった渋い名勝負の裏側に迫る。


超日本プロレスとは? 〜昭和プロレスの魂を現代に〜

「超日本プロレス」は、DDTプロレスを母体に生まれたスピンオフ興行。派手なギミックやパフォーマンスが特徴のDDTの中でも、**“渋さ”“泥臭さ”“リアルファイト感”**を前面に押し出したブランドとして知られている。

ここで描かれるのは、平成・令和のプロレスとは一線を画す世界観。観客の歓声よりも、リングを叩く鈍い音、絞め技にうめく息遣いが響く。華やかなエンタメ性よりも、「技を受け、技を返す」という原点に忠実な試合運びが評価されている。

青木真也はこのコンセプトの象徴的存在だ。総合格闘技のトップファイターとしての実績を持ちながら、あえて泥臭く“昭和プロレス”を再現する。その姿勢に共感したのが、プロレス界の“青義軍”リーダー・永田裕志。
この両者の対峙は、まさに「魂と魂のぶつかり合い」であった。


永田裕志 vs 青木真也 試合レポート

開始早々から漂う緊張感

試合開始のゴングとともに、会場は静まり返った。
ロックアップから押し合い、引き合い。
永田のミドルキックが青木の脇腹をとらえると、青木は眉ひとつ動かさずにタックルで返す。グラウンドの攻防に入ると、青木の寝技テクニックが光る。永田は巧みに体重を預けて圧をかけ、スタンドへ戻す。

観客は声を出さない。ただ、リング上の呼吸に耳を傾ける。まるで1980年代の新日本道場スパーを観ているかのような緊張感だった。

昭和プロレスの象徴、ミドルキックと絞め

中盤、永田の代名詞「ナガタロックII」を狙うが、青木が切り返してアームロック。
関節の攻防が延々と続く。両者とも即座に技を解くことなく、じわじわと絞り上げる。その間、観客の拍手はわずか。だが、その静寂こそが、この試合の価値を高めていた。

青木がスリーパーに入ると、永田は顔を真っ赤にして立ち上がり、コーナーにぶつけて脱出。そこからのローリング・ミドルキックの連打は、まるで“青義魂”が爆発したかのようだった。

終盤、限界の先へ

試合時間は25分を過ぎ、両者ともに息が上がる。
青木がアキレス腱固め、永田が腕十字を狙い返す。リング中央で、寝技と立ち技が融合した“現代の昭和プロレス”が展開されていた。
残り1分、永田のバックドロップが炸裂するも、青木は肩を上げる。
そして30分、ゴング。

結果は時間切れドロー
勝敗を超えた「プロレスという格闘技の原点」を見せつける一戦となった。


ファンの反応と、プロレス界への影響

この試合後、SNS上では「令和に昭和のプロレスを見た」「技を受けきる美学」「これぞ闘魂継承」といった声が多数上がった。
特に永田裕志の“無言の説得力”と、青木真也の“リアルにこだわる姿勢”が高く評価された。

この試合は「勝ち負け」ではなく、「プロレスとは何か?」を観客に問いかける内容だった。
技を派手に見せるのではなく、技の“重み”を伝える。これが超日本プロレスの真髄であり、今後の日本マット界にも確実に影響を与える一戦となった。

永田は試合後、「青木真也は本物だ。俺が若手の頃に感じた“怖さ”を思い出した」とコメント。
青木も「永田さんとやれて光栄。30分が一瞬だった」と語った。
互いへの敬意が感じられるコメントは、昭和から令和へと続く“プロレスの系譜”を象徴していた。


まとめ 〜勝敗を超えた、魂の共鳴〜

永田裕志と青木真也の一戦は、勝敗では測れない価値を持つ試合だった。
見せ場を狙わず、緻密に、地に足をつけた攻防。
まさに“技を信じる者同士”の闘いであり、プロレスが「格闘技」であることを改めて示した名勝負である。

超日本プロレスという舞台が、このような化学反応を起こしたのは必然だろう。
派手さよりも「深み」、スピードよりも「粘り」、そして観客を沸かせるよりも「唸らせる」。
そんな試合を令和のリングで見られる幸せを、改めて噛みしめたい。

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