第1章:プロローグ──震災の記憶と未来への決意
MIRAI(舞海魅星、1999年12月3日生まれ、岩手県宮古市出身)。
彼女の人生の原点には、2011年3月11日の東日本大震災がある。津波に襲われ、家族や地域コミュニティが深く傷ついたその体験は、幼少期の心に刻まれた。
彼女は後に「震災で多くを失ったけれど、強く生きなければと学んだ」と語っている。被災体験が「生きる強さ」を求める原動力となり、その答えをプロレスに見いだすようになる。
第2章:医者志望からプロレスへ──葛藤と選択
震災を経験したMIRAIは、当初「医師になりたい」と考えていた。しかしその道は険しく、やがて自分の生き方に迷いが生じる。
学生時代には柔道を経験し、体を動かす楽しさと強さを身につける。また、芸能の世界に触れたこともあったが、心の奥では「リングで戦う自分」を夢見るようになった。
家族からは「女性がプロレスをやるなんて」と反対も受けたが、彼女は最終的に「夢を諦めない」選択を下す。
第3章:デビューと東京女子プロレスでの試行錯誤
2019年5月3日、後楽園ホール。東京女子プロレスでMIRAIはデビューを果たした。
相手は天満のどか&愛野ユキ組。パートナーはYUMI。まだ荒削りながらも柔道仕込みの投げと全力の闘志で観客を魅了した。
以降も東京女子で試行錯誤を繰り返し、パワーと粘り強さを磨き続ける。勝てない試合も多かったが、そこで培われた「受けの強さ」が後の武器となった。
第4章:スターダム時代──シンデレラ連覇と主役の扉
2021年、MIRAIはスターダムに移籍。ここで彼女は一気に開花する。
輝かしい実績
- シンデレラ・トーナメント:2022・2023年と2年連続優勝。史上2人目の快挙。
- Wonder of Stardom王座:2023年7月、中野たむを破って初戴冠。
- Goddesses of Stardomタッグ王座:壮麗亜美とのコンビで獲得。
- Artist of Stardom王座:朱里・壮麗亜美とのGod’s Eyeトリオで戴冠。
- Triangle Derby 2024:God’s Eyeで優勝。
名勝負と評価
2023年7月「Mid Summer Champions」でのWonder王座奪取は、MIRAIにとっての大ブレイク。
「努力は必ず報われる」という姿勢を体現し、ファンに勇気を与えた。
技術賞や試合賞にも選出されるなど、実力と人気を兼ね備えた存在へと成長した。
第5章:スターダム退団と心境の転換
2024年3月、MIRAIはスターダム退団を発表。
表向きには「やりたいことへの挑戦」と説明されたが、背景には団体の中での役割に対する葛藤があったとされる。
トップ戦線に立つ一方で、自分の可能性をさらに広げたいという気持ちが強まり、退団を決意したのだ。
第6章:マリーゴールド期──新団体の柱とタイトル戦線
2024年旗揚げのDream Star Fighting Marigoldに参戦。団体の初期メンバーとして、中心選手の役割を果たした。
剛腕ショルダー、力強いスラム、真っ直ぐなマイクパフォーマンス。観客を引き込む力は団体の「熱源」となった。
マリーゴールドでのタイトル歴
- Marigold Twin Star Championship(ツインスター王座):
2024年7月30日、桜井麻衣とのコンビでトーナメントを制し、初代王者に輝く。 - 2024年12月13日「Winter Wonderful Fight」にて、野崎渚&CHIAKI組に敗れ、王座陥落。
また、United National Championshipトーナメントにも出場し、青野未来と激闘を繰り広げたが、惜しくも戴冠には届かなかった。
退団発表
2025年9月20日、新木場大会で退団を電撃発表。最終戦は10月13日の後楽園ホールと告げられた。
「ロッシー小川から巣立ちます。自分自身の力を試したい」
「あきらめてきたことをもう一度叶えたい」
「長く現役を続けるつもりはない。だからこそ今挑戦したい」
この発言から見えるのは、守られる立場から独立し、挑戦を凝縮したいという強い意志だった。
第7章:リング外での活動──社会との接点
MIRAIはリング上だけでなく、学校での出前授業など社会活動にも取り組んでいる。
東北の子どもたちに「夢を持つことの大切さ」「いじめと闘う勇気」を伝える姿は、プロレスラーとしての枠を越えた影響力を示している。
こうした活動は、彼女が「東北出身レスラー」として果たすべき役割でもあり、多くの共感を呼んでいる。
第8章:これからの方向性──次なる挑戦はどこへ?
退団後の進路は未定だが、いくつかの有力なシナリオがある。
STARDOM復帰
古巣に戻り、再び頂点を狙う可能性。岩谷麻優も「戻るのでは」と発言しており、ファンの間で注目されている。
フリーランス化
Sareeeのように自主興行や他団体スポット参戦を行い、自らの力を試す道。
海外挑戦
AEWや北米インディ参戦など、短期的に海外で戦う可能性もある。本人の「長期現役ではない」発言と整合する。
仙台女子(センダイガールズ)加入
岩手出身のMIRAIにとって、仙台を拠点とする仙台女子プロレスリングは地元との親和性が高い。
正規所属でなくとも、準所属やスポット参戦の形でマットに立つシナリオは十分考えられる。
第9章:年表と主要試合リスト
年 | 出来事 |
---|---|
1999 | 岩手県宮古市に生まれる |
2011 | 東日本大震災を経験 |
2019 | 東京女子プロレスでデビュー |
2021 | スターダム加入 |
2022 | シンデレラ・トーナメント初優勝 |
2023 | シンデレラ連覇、Wonder王座戴冠 |
2024/7/30 | 桜井麻衣と共に初代 Marigold Twin Star王者となる |
2024/12/13 | ツインスター王座を野崎渚&CHIAKIに敗れ失う |
2025/9/20 | マリーゴールド退団発表(最終戦は10/13後楽園) |
結び:挑戦を続ける太陽
MIRAIは、TJPW → STARDOM → Marigoldと歩みを重ね、輝かしい実績と勇気ある決断を繰り返してきた。
退団後の進路は不透明だが、彼女が選ぶ場所は必ず注目されるだろう。
「挑戦を凝縮する」彼女の姿は、東北から生まれた“太陽”として、今後も多くの人々を照らしていくに違いない。
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